簡易物理モデルとニューラルネットワークを用いたハイブリッドトランスモデル
金磯 凜大郎,徐 ブンエイ,朱 聞起,関屋 大雄
電子通信エネルギー技術研究会 (EE), Jan., 2026. [pdf document]

<Abstract>

本研究では,MHz 帯で動作する高周波コンバータの設計最適化に向けた,低透磁率コアを使用したトラ ンスのハイブリッドモデルを提案する.近年,コンバータの高周波化に伴い,ヒステリシス損や渦電流損の少ない 低透磁率コアの利用が不可欠となっている.しかし,これらのコアは漏れ磁束が大きく,巻線構造に依存してイン ダクタンスや結合係数が複雑に変化するため,従来の磁気回路モデルでは特性の正確な予測が容易ではない.その ため,トランスを実際に試作し,その実測値に基づいて回路パラメータを調整するという試行錯誤的なプロセスが 必要であり,トランスの物理パラメータと回路パラメータの同時最適化には時間的なコストが課題となる.提案モ デルは,簡易物理モデルと,簡易物理モデルの誤差を補正するニューラルネットワーク(NN)を組み合わせたハイ ブリッド構成である.簡易物理モデルは計算コストが低く大まかな特性を捉えることができ,NN はその非線形な 誤差を高精度に補正する.これにより,計算コストの高い有限要素法(FEM)解析を用いることなく,トランスの 自己インダクタンスおよび結合係数を高精度かつ高速に予測することが可能となる.検証の結果,提案モデルを用 いて導出したパラメータは,実測値と誤差 2% 以内でのトランスの作成が可能で,その有効性が確認された.